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Method: ブランディングのメソッド (コンテクスト ⇄ コンセプト)

「編集」や「PR」に関しては、ディレクターの経験に基づいた知見を活かしてアドバイスや提案、ディレクション、コンテンツ制作などを行います。

一方、「ブランディング」に関しては「エビデンスに基づいたマーケティング」がベースです。
(多くのマーケターが従来型の思い込みによる理論をベースにして戦略を立てていることが多く、経験がかえってデメリットになることもありますが、)われわれは固定観念を持たず、エビデンスに基づいたブランディングを提案いたします。
その際にも編集やPRの知見が大いに役立ちます。

ブランディングのベースは「エビデンスに基づいたマーケティング」

「エビデンスに基づいたマーケティング」は、「 Evidence Based Marketing(エビデンスベーストマーケティング、エビデンスベースドマーケティング)」の頭文字から「EBM」とも略されていますが、100を超える学術論文を発表しているバイロン・シャープ教授などが提唱している理論です。

数理モデルで科学的に証明され、P&Gのマーケティング戦略に影響を与えたことでも知られています。

いくつかの法則がありますが、もっとも象徴的なのが「ダブルジョパティの法則」です。

ダブルジョパディーの法則: マーケットシェア(浸透率)が低いブランドは購買客数も非常に少ない。また、これらの購買客は行動的ロイヤルティも態度的ロイヤルティもやや低い。

『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』より引用

簡単に言えば、マーケットシェアや浸透率(※一定期間内にそのブランドを利用したユーザーの割合)が低いブランドは二重の意味で不利になるという法則です。
浸透率が低いとロイヤルティも低くなるため、「ニッチだけどロイヤルティは高いブランド」は幻想に近く、一部の例外を除いて存在していません。
残念ながら、ロイヤルティを高める施策は効果が低いということです。

ブランドを成長させるためには浸透率を上げ、ライトユーザーを増やすことが不可欠。
潜在層や未顧客にも働きかける必要があり、そのために有効なのが「CEP(カテゴリーエントリーポイント)の数を増やす」という戦略です。

CEPとは、商品やサービスを購入する際にブランドを思い浮かべる「きっかけ」です。
日常の中にある文脈(コンテクスト)に紐づいて想起されるカテゴリーの選択肢に含まれていることを意味します。

生活の文脈(コンテクスト)に沿って想起されるCEP(カテゴリーエントリーポイント)が多いほどブランドを想起してもらえる入口が増え、(メンタルアベイラビリティが強化され、)浸透率のアップにもつながります。
そのため、CEPの数を増やす戦略が重要となるのです。

例としてコーヒーを飲むコンテクストを想像してみましょう。
通勤途中に自販機で買う缶コーヒーは集中力を高めるため、ランチ帰りにコンビニで買うコーヒーは口直しのため、午後にコーヒーメーカーで淹れるコーヒーは眠気覚ましのため、リモートワークの休憩として近所のカフェで飲むコーヒーは息抜きのため…。

同じコーヒーでも、状況によってパターンは多様です。
それぞれのコンテクストに合わせて想起してもらえるCEPを増やすことで、ブランドの価値が高まるという考え方です。

CEPを増やすには、コンテクストを発見、再解釈、開発する必要があります。
そのためにはユーザーインサイトが効果的です。
ただし、アプローチすべき潜在層や未顧客は正確に言えばユーザーではないため、データが乏しくて当然。そんなケースでこそ、インタビューの実施や仮説の設定によって「インサイト」や「顧客の合理」を探る編集的な手法が役立ちます。

「サービス・ドミナント・ロジック」でもコンテクストが鍵

com-textは社名の通り「コンテクスト」を重視していますが、アメリカのマーケティング研究者であるR.F.ラッシュとS.L.バーゴが提唱した「サービス・ドミナント・ロジック」もコンテクストが鍵を握っています。

サービス・ドミナント・ロジック: 価値が内在した製品を購入すれば価値を共有できると考える「グッズ・ドミナント・ロジック」に対し、モノ自体に価値は存在せず手にした人が使用して初めて価値が生まれると考えるのが「サービス・ドミナント・ロジック」。有形か無形か、モノかサービスに関わらず、すべての経済・経営活動を「サービス」として包括的にとらえる。

『サービス・ドミナント・ロジックの発想と応用』などを要約

「サービス・ドミナント・ロジック」では、企業と顧客がお互いのナレッジやスキルを交換して統合することで価値が生まれると考えます。
例えばコーヒーを飲むためのカップも、実際にコーヒーをカップに注いで飲んでこそ価値が生まれるのです。
使用して生まれる価値は「使用価値」と呼ばれていましたが、使用価値は顧客の文脈(コンテクスト)によって判断されるため、「文脈価値」という表現にアップデートされました。
それだけ顧客の文脈(コンテクスト)を理解することが重要になってきています。

ただし、企業と顧客のどちらかが主体ということではなく、価値を共創するという点こそポイント。生み出された価値は「共創価値」とも呼ばれます。

企業側だけでなく、顧客側のコンテクストも理解し、価値を提案することが大切。さまざまなコンテクストを意識することは、マーケティングやブランディングに限らず、コミュニケーション全般で重要になっています。

ここからは独自のメソッドになりますが、「使われて初めて価値が生まれる」ということは、使ってもらうユーザーを増やすことも重要になります。
「ブランドへの態度変容は使用した後で生まれる」「ブランドは使った後に好きなる」と説く「エビデンスに基づいたマーケティング」とも接続できる要素です。
コンテクストに沿って想起される「CEP(カテゴリーエントリーポイント)の数を増やす」という基本戦略の有効性は「サービス・ドミナント・ロジック」で補足できるとも考えられます。

「コンセプト」を定めることで、ブランドを毀損せず入口を増やす

多様なコンテクストに沿ってCEPを増やしていくブランド戦略を行った場合、統一感を損なってブランド本来の価値を毀損してしまいかねない懸念もあるかもしれません。

それを防ぐために必要なのが「コンセプト」です。
「コンセプト」とは「全体を貫く観点」といった意味合い。
レイヤーによって「ブランドコンセプト」「プロダクトコンセプト」「コミュニーケーションコンセプト」などに分けられますが、いずれにしても「全体を貫く観点」であることが不可欠です。
「全体を貫く」からこそ「独自性」や「一貫性」につながり、「価値の根源」として機能します。

レイヤーに関わらず「コンセプト」に沿ったコミュニケーション活動を行うことで、「CEPを増やす」という戦略を行いながらも、ぶれることなくブランドの価値が多角的に提案できます。

「コンセプト」を定めるための方法はいくつかありますが、いくつかの「コンテクスト」を理解する必要があります。
コンテクストは主体によって「ブランドコンテクスト」「ユーザーコンテクスト」「コモンコンテクスト」などに分けて考えられますが、何を探るにしてもインタビューや情報収集などが不可欠で、それはまさに編集作業です。

「コンセプト」⇄「コンテクスト」のメソッドはリブランディングにも効果的

少しわかりにくくなってしまいましたが、最後に簡潔にまとめます。

  • ブランド(企業、プロダクト、サービス、メディア、チーム、個人)の価値を高める基本戦略は、「日常のコンテクストに沿ったCEP(カテゴリーエントリーポイント)を増やす」
  • 「サービス・ドミナント・ロジック」でも「コンテクスト」が鍵で、顧客が使用して初めて「文脈価値」が創出される
  • 「コンセプト」を定めることで、ブランドやコミュニーケーションの軸をぶらさずにCEPが増やす施策が行える
  • 「コンテクスト」を理解、発見、再解釈、開発する際にも、「コンセプト」を定める際にも、編集的な手法が重宝する

「コンテクスト」と「コンセプト」を行き来することで、あらゆるジャンル、さまざまなレイヤーで効果的なコミュニケーション活動が可能になります。

また、企業側と顧客側、双方のコンテクストを理解するメソッドは、「マーケットイン」のブランドにも「プロダクトアウト」のブランドにも対応可能です。
とくに、高品質や高機能にも関わらず成長できていない「プロダクトアウト」で生まれたブランドを再解釈するリブランディングでこそ、高い効果が期待できます。

さらに、コンテクストを整理してコンセプトを導き出す編集的な手法は、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」などの策定にもそのまま応用できます。

マーケティングにはアート(感性)とサイエンス(科学)の両方が必要だと言われますが、サイエンスの部分は普遍的な理論を活用。それを実務や施策に落とし込む際のアートな部分で編集の知見やPRの経験が活用できると考えています。

「コンセプト」と「コンテクスト」を重視しながらブランド(企業、プロダクト、サービス、メディア、チーム、個人)の成長に貢献いたしますので、「⇢ Contact」などからお気軽にお問い合わせください。

※ 各理論やロジックを接続する独自のメソッドは常にアップデートを行っていきます。

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